SF小説の金字塔 ついに完全日本語化 



来るべき種族 来るべき種族 The Coming Race
著者:エドワード・ブルワー=リットン
翻訳:向井 正美
価格:1925円(税込)発売中
ISBN 978-4-9908143-0-4 C0097
A5版 238ページ

※漫画ではありません

あらすじ

 主人公はひょんなことから地球の奥底、地底世界に入り込んでしまう。そこでは、地底人ヴリル・ヤが神秘の力ヴリルを操り、超文明を築いていた。ヴリル・ヤに受け入れられた主人公は彼らの社会をつぶさに観察していく。彼らにはある伝説があった。その伝説によれば、彼らはいつの日か地上に出現し・・・・・・



作品紹介

『来るべき種族/The Coming Race』(1871年出版)は、いわゆる問題作です。
 本作品は、出版当時から事実に基づく作品ではないかとの憶測を呼び大きな話題となりました。 また、その後の世界史に大きな影響を与えたというのはまさしく史実です。 例えば、ヒトラーをはじめとするナチスの主要メンバーが会員となっていたことで知られるオカルト結社、ヴリル協会(1918年設立)はこの作品から名前をとったものです。

 著者はエドワード・ブルワー=リットン(1803―1873)。 『ポンペイ最後の日』や、あの名言「ペンは剣よりも強し/The pen is mightier than the sword.」で知られる人物です 。作家であり、政治家であり、オカルティストであり、はたまたおしゃれを語るダンディな紳士でありと多様な顔を持ち合わせた著者が、晩年、病に侵され死期が迫る中で著したのが本作品です。

 神秘の力ヴリルを操り、地球の奥底で超文明を築いた地底人ヴリル・ヤが、いつの日か地上に出現して地上人類を滅ぼす。 こんな奇想天外なストーリーの本作品は、SF小説の黎明期にあった当時、他の作家に大きな影響を与えた作品の一つとして名高く、紛れもなく著者の代表作です。 また、ユートピアを論じた作品として社会科学の分野でも著名です。
 出版当時、本作品はヴリル(Vril)の名を冠した商品まで発売されるほどのブームを引き起こし、実話ではないかとの憶測まで呼びました。 その評判に違わぬ通り、作品中での地底世界への言及は、気候、科学技術、農業、生活習慣、言語、文学、歴史、政治体制、果ては男女問題とあらゆる事柄に渡ります。 その描写は極めて具体的かつ詳細で作り話とは思えないほどのリアリティに富んでいます。 そして、聖書の記述を連想させるような、地上へのヴリル・ヤ出現の伝説。その方面に興味をもつ読者であれば、実話ではないかと考えてしまうのも頷ける作品です。 それどころか、そのリアルさ故に、その後の現実の歴史に大きな影響を与えたのは既に述べたとおりです。

 リットン自身はこういった憶測をあくまでも否定していました。 ですが、それまでにも薔薇十字思想を題材とした小説『ザノーニ』等について、「単なるつくり話と捉えるべきではない」といったことを公言していたこともあり、否定すれば否定するほど却って憶測が深まっていたようです。


 果たして、真相はいかに?



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